文化の日コンサート 東西の「海」を駆ける!〜邦・洋楽器が奏でる4つの時代〜を開催しました。

11月3日(日・祝)東京藝術大学 千住キャンパス 第7ホール

「文化の日に足立区の方が芸術音楽に触れられる機会を作ろう」というコンセプトで、今年から始まった文化の日コンサート。文化の日に藝大でコンサートを開催する試みで、毎年続けて区民の方に広く知っていただきたいと考えています。広報用のチラシの右下に「藝大で楽しむ文化の日」の上にロゴがありますが、今回のコンセプトに合わせて、美術学部デザイン科の修士課程1年、本多万智さんに作成してもらったものです。いかがでしょうか?

第一回となる今年は、邦楽と西洋音楽を一緒に聴くコンサートです。4つの時代ごとに、邦楽と西洋音楽の作品を聴き比べる構成で、邦楽と西洋音楽を並置する藝大ならではの内容です。このコンサートのために、藝大に在籍する学生、大学院生、卒業生、そして教育研究助手まで俊英たちが集結しました。

江戸時代初期の撥弦楽器の競演からスタートです。舞台も「東」「西」と見立てて、向かって右に箏を、左側にチェンバロを設置しています。

邦楽は、箏で八橋検校「みだれ」、西洋音楽がチェンバロでフランソワ・クープラン『クラブサン曲集』より4曲を披露しました。4曲の中の一曲、『クラブラン曲集』「波」にあるように、今回は、”海を渡って音楽が東西を駆け抜けるイメージ”がコンサートの背景にあり、”海”にちなんだ曲がいくつか組み込まれています。

次に、元禄期の笛を聴き比べます。邦楽が尺八、西洋音楽がフルート(チェンバロ伴奏)です。尺八の音の揺らぎとその余韻、それと比較してフルートの響かせ方とテンポの取り方と、それぞれの音楽の魅力がわかりやすく伝わってきます。

ここで休憩を挟み、享保期の合奏に移ります。邦楽は、有名な三ツ橋勾当「松竹梅」です。現代では珍しい胡弓を入れた編成で、宮城道雄による編曲を演奏しました。(左から箏、三絃、胡弓)

西洋音楽は、メンデルスゾーンの弦楽四重奏第一番、第1楽章、第4楽章です。邦楽が女性3名で着物を着ていたこともあり、弦楽四重奏の男性4人がスーツで登場すると、ガラリと雰囲気が変わりました。

最後の時代、明治時代です。邦楽はお馴染みの宮城道雄「春の海」で、西洋音楽はドビュッシー交響詩『海』第3楽章「風と海との、そして東と西の対話」(田村文生編曲)を初演しました。14の邦楽器、西洋楽器による室内オーケストラで盛大にコンサートのトリを飾ります。繊細な邦楽の音色と優美で力強い西洋の音色が融合し、コンサートの最後で東西が繋がったように感じました。

 

来年も文化の日コンサートを、どうぞお楽しみに。

田村文生先生による司会進行

作品、作曲家をわかりやすく解説しています。

衣装は、海にちなんで「青」でした

和服の淡い青が素敵です。

カーテンコール①

カーテンコール②

チェンバロ奏者を呼び込んでご挨拶