アウトリーチ・コンサート「クリスマスコンサート」を開催しました。
昨年の12月24日(月・祝)、鹿浜地域学習センターで「クリスマスコンサート」を行いました。今回は、クラリネットとトランペット、そしてマリンバにヴィブラフォンという珍しい編成のカルテットです。
コンサートは、モーツァルト《フィガロの結婚》から、ドビュッシー《亜麻色の髪の乙女》、プッチーニ《トゥーランドット》「誰も寝てはならぬ」と続き、冒頭で耳馴染みのあるクラシックを披露。普段はオペラやピアノで演奏される作品が、少人数の編成に編曲・演奏されて、また違った趣が感じられるのもアウトリーチ・コンサートの醍醐味です。今回はマリンバとヴィブラフォンのやさしい音色のベースに、クラリネットとトランペットのみずみずしいメロディが溶け合い、華やかで柔らかなハーモニーが奏でられました。
中盤では、それぞれ4つの楽器に焦点を当てたソロ曲が披露されました。演奏前に、演奏者より歴史や音の多様性、どのような場所で演奏されるか等の説明があり、解説中にドッと笑いが起こる場面も。和気あいあいとした雰囲気の中、楽器の魅力を感じたところで各々の特性を生かした楽曲が続きます。
まず始めに登場したのが、マリンバ奏者の石川大樹さん。よく知られたJ. S. バッハの名曲《無伴奏チェロ組曲》から「第1番プレリュード」をマリンバで演奏してくれました。楽器としての歴史が浅いため、マリンバの作品は、ヴァイオリンやチェロ等の弦楽器の編曲が多いとの説明がありました。バッハの簡潔で美しい旋律をマリンバの柔らかい響きが包みこみます。
続いてはトランペット奏者の蓬田奈津美さん。ディズニーの『アラジン』から《ホールニューワールド》を一人で2種類のトランペットを演奏中に吹きこなし、それぞれの楽器の音色・音域の違いを実演。トランペットの、音の豊かなバリエーションが織りなす世界に聴き手もグッと引き込まれていきました。
ソロの3曲目はクラリネット奏者、安藤友香理さんによる《だんだん小さく》です。「いったい何が小さくなるのでしょうか?」という問いかけで演奏がスタート。曲が進むに従って徐々に小さくなっていったのは、クラリネットでした。実は短く分解できるという、木管楽器の特徴を利用した面白い仕掛けに、会場は大盛り上がりです。
最後はヴィブラフォンにフォーカスした《ワルツ・フォー・デビー》。ジャズのピアノトリオ曲を、ヴィブラフォン奏者の山﨑大輝さんがヴィブラフォンとマリンバのアンサンブルに編曲。刻まれる軽快なリズムに、思わず身体をスイングさせる方もいらっしゃいました。
コンサート当日がクリスマス・イブということもあり、《そりすべり》では、石川さんと山﨑さんがサンタクロースの帽子を被り、安藤さんと蓬田さんがトナカイに変身、クリスマスらしい演出がありました。曲中に、ベルやスラップスティックの「パーン」という快活な音が鳴り、観客をクリスマスの世界へといざないます。終盤の《川の流れのように》では、懐かしいメロディをそれぞれの楽器が歌うように奏で、忙しい師走の時期にほっと一息させてくれるようでした。ゆったりとした空気が会場に流れたところで、最後のクリスマス・メドレーで再び華やかなクリスマスムードに!《きよしこの夜》、《ひいらぎかざろう》、《ジングルベル》等、合わせて8曲ものクリスマスソングが盛り込まれた豪華なメドレーで、会場内にお馴染みの楽しいメロディが響きました。このメドレーを編曲したのは東京藝大学大学院作曲科に在籍する中橋祐紀さん。今回はこの珍しい編成のため特別に手掛けてくれました。
ご来場者からは、「クリスマス気分に浸ることができました」「このような小さな場所で身近に演奏者と接することができてよかったです」とうれしいご感想をいただきました。