「メープル木管五重奏団 公演vol.1 」が開催されました

7月13日(土)足立区竹ノ塚地域学習センターホール

7月13日(土)、竹の塚地域学習センターホールにて、東京藝術大学アウトリーチ・コンサート「メープル木管五重奏団 公演vol.1」が開催されました。

アウトリーチ・コンサートとは、演奏家が普段演奏しているホールを離れて、地域の皆さんのところへ出向いて行うミニコンサートです。出張型のコンサートとも言えます。

普段、アートリエゾンセンターでは東京藝術大学 千住キャンパスにて演奏会を開催しており、足立区での活動の一環として、竹の塚地域学習センターホールでの演奏を行っています。この日は猛暑の中、200人近くもの多くの方々がホールまで足を運びました。

木管五重奏は、フルート、クラリネット、オーボエ、ホルン、ファゴットの5つの楽器による編成です。管楽器による室内楽のアンサンブルが盛んだった古典派の時代に、ホルンが木管楽器とよくいっしょに演奏されてきたため、いつしか「木管五重奏」と呼ばれるようになりました。その後、19世紀のフランスで確立したと言われています。

本学卒業者である、山本英さん(フルート)、沖響子さん(オーボエ)、松原秀人さん(ホルン)、小田光さん(ファゴット)、篠塚友里江さん(クラリネット)によって構成されるメープル木管五重奏団の演奏では、5つの異なる楽器の音色や奏法の組み合わせで、豊かな響きのバリエーションが楽しめました。

本公演では、木管五重奏の代表的な作品が披露されました。

プログラムは、

F.プーランク《ノヴェレッテ》

D.ミヨー《ルネ王の暖炉》

A.ツェムリンスキー《ユーモレスク》

C.ニールセン《木管五重奏曲》

でした。

最初に演奏したF.プーランク《ノヴェレッテ》は、もともとはピアノのために書かれた《3つのノヴェレッテ》の第1番です。「ノヴェレッテ」とは、短編小説という意味です。その名の通り、短いながらも充実した内容の小説のように、聴きごたえのある楽曲です。プーランクの新古典主義的な作風が反映され、明快で心地よく、生き生きとした旋律がオープニングを彩ります。

次に演奏した曲は、D.ミヨー《ルネ王の暖炉》です。曲名《ルネ王の暖炉》は、作曲家ミヨーの故郷であるプロヴァンス地方に実在したルネ王が、冬でも風が吹かず、日が当たって暖かい並木道を毎日のように散歩していたという逸話に由来しています。元はレーモン・ベルナール監督の映画『愛の騎馬行列』のため1939年に作曲した映画音楽で、ミヨーが担当した中世のシーンを牧歌や行進曲といった短い7曲の組曲として書き直したものです。冬のプロヴァンス地方の風景を思い起こさせるような、表情豊かで美しい演奏です。

続いては、A.ツェムリンスキー《ユーモレスク》です。「ユーモレスク」とは、ドイツ語で気まぐれな、陽気なという意味で、その名の通り、明るく軽快なロンド主題を繰り返しながら展開します。ファゴットによるロンド主題から始まり、様々な楽器による主題演奏や挿入部をはさみながら、最後に再びロンド主題が導かれます。軽快な主題演奏と、楽器の個性が光る豊かな音色で、陽気でさわやかな響きが会場を包みます。

最後の演奏は、C.ニールセン《木管五重奏曲》です。3楽章編成からなり、コンクールの課題曲やコンサートのメインプログラムになるような、演奏に30分以上要する大曲です。
特に演奏者による曲紹介ではホルンの松原さんが説明した第3楽章は、不協和な合奏から始まり、コラールの変奏部が続く構成となっており、11の多彩な変奏が魅力的です。各楽器の個性を生かした表情豊かな変奏と、合奏によるふくよかな音色が織り成す美しい響きが、コントラストを成しながら交互に演奏されます。

まさに、木管五重奏がもつ各楽器の特徴や演奏者による個性、楽器の組み合わせや音域によるバリエーション豊富で華やかな演奏が、プログラムの最後を飾りました。

報告者:北井里樹(東京藝術大学音楽学部 音楽環境創造科5年)

 

 

来場者の声

終演後、来場いただいた方々から「柔らかい音色の中にも力強さを感じました。」「個性のぶつかり合いが大変引き込まれました。」「木管の優しい音に癒されました。また聴きたいです。Vol.2も楽しみにしています。」との感想がございました。

また、もともと楽器を演奏していた方や、クラシック音楽にあまり触れていなかった方など、地域の施設の中でコンサートを行ったことで様々な方々が再び音楽に触れる機会ができて良かった、との言葉もいただきました。

今後も東京藝術大学アートリエゾンセンターでは、千住キャンパスでの演奏会に加え、アウトリーチ・コンサートも開催してまいります。どなたでも気軽にご参加いただける音楽の機会を提供したいと考えていますので、皆様のご来場を心よりお待ちしております。

演奏風景

MC風景

舞台裏