「台湾の風とともに -合唱とオペラ- 」を開催しました。

7月29日(日)東京藝術大学千住キャンパス スタジオA

週末に台風が上陸する予報で、台湾からの飛行機も遅れが出るなど、直前まで台風情報に振り回されながらの準備。しかし、我々の祈りが通じたのか、前日までに台風が抜け、当日は時折小雨が降る曇り空でしたが、多くの方にご来場いただきました。

国立台湾師範大学音楽学部から女声合唱団とオペラ・ソリストをお招きし、第一部で台湾の合唱曲、第二部でオペラのハイライトを披露いただきました。まず、開会のご挨拶で、多田羅迪夫先生(東京藝術大学名誉教授)から国立台湾師範大学音楽学部声楽科について、これまでの多田羅先生、直井先生等の台湾への出張指導について、さらに今回の演奏会の経緯についてのお話がありました。そして、ついに「国立台湾師範大学音楽学部女声合唱団」の総勢17名が、ピンクの艶やかな衣装に身を包んで登場です。会場の後ろの扉が開き、合唱団が左右二手に分かれて現れる演出で、ふわりと「台湾からの風」を感じるような瞬間でした。

中国の古典作品『紅楼夢(こうろうむ)』の詩にのせた『西江月』『臨江仙』の2曲からスタート。

歌声とともに、会場は中国のいにしえの時代の空気に包まれます。続いて、ピアノの静かな響きとともに『身騎白馬』が始まり、切なくロマンチックなソロとバックコーラスとの絶妙な掛け合いに引き込まれました。この曲は、この日ピアノ伴奏をされていた宋婉鈺さんによる編曲でした(宋さんは、小さなお子様を連れてのご来日で、お母さんの本番中は、ご主人が赤ちゃんを別室であやされていました)。『丟丟銅仔』(シュッシュッポッポ)では、「シュッシュ」という機関車の音を模した声があり、車輪がだんだん早く回転していくような箇所もあり、展開の面白さが光ります。

『蒔田』は、日本語で「田植え」の意味で、国立台湾師範大学を卒業した気鋭の作曲家・趙菁文の作品です。『聽見坪林』は、何とメンバーの一人がフルートを担当。歌、フルート、ピアノの美しい音色が融合します。『Exaudi ! Laudate!』は、賛美歌の曲ですが、「聞け!讃美の声を!」のタイトルの通り、力強い旋律が特徴で、歌声からひしひしと生命力を感じられました。

あっという間に、第一部の最後の曲です。日本人の心の歌とも言うべき『故郷』。一番を女声の美しい合唱で、二番を多田羅先生の歌詞の案内のもと、会場全員で合唱しました。台湾の古い歌があり、国立台湾師範大学のゆかりの方の作曲作品あり、賛美歌あり、そして日本の歌まで、趣向を凝らしたプログラムで、ご来場いただいた方には大変好評をいただきました。

そして第二部は、イタリアオペラ4曲です。藝大のオペラ作品の多くの演出を手がけてきた直井研二先生が、表現の方法、振り付けはもちろん、照明、舞台美術に至るまで、まとめてくださいました。物語を盛り上げ、世界観を作り上げてくれるしつらえは、上野校舎とスタッフの方の私物を持ち込み、リハーサルまでに設営。そして、イタリア語で歌われる内容をわかりやすく、プロジェクターで和訳を写しました。

舞台・照明・字幕・音楽と、全ての息を合わせる緊張感のある瞬間が続きます。

 

ご来場者の中に小学生の男の子がいらしたのですが、アンケートでは「字幕があってわかりやすかった」と回答くださり、内容は少し難しいものだったかと思いますが、「小学生にもご理解いただけた!」と安堵いたしました。 オペラが終わり、最後アンコールには、合唱団も登場してテレサテンの曲を歌い、フィナーレとなりました。合唱からオペラまで盛りだくさんのコンサートで、ご来場くださった方からは、それぞれ合唱が心に響いた、オペラの歌唱が素晴らしかったなどうれしいお声を多数いただきました。

 

カーテンコール

多田羅迪夫先生(東京藝術大学名誉教授)とオペラソリストが登壇。